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特別寄稿
釣行記


伊豆諸島鵜渡根島釣行記 2003年8月31日
ここは鵜渡根・カツオ根タイ!

 ネットの釣友、熊本出身・東京在住の川の沢平政さんから九州人にとって未踏の磯、伊豆諸島の 中でも超有名な鵜渡根カツオ瀬の熱い釣行記が届きました。

憧れの鵜渡根へ         川の沢平政 投稿日:2003/09/02

 2003年8月31日の日曜日、伊豆諸島の無人島、伊豆半島から渡船で南下 すること1時間30分に佇む鵜渡根へ釣行しました。

伊豆諸島 鵜渡根島

  今回の鵜渡根釣行計画には裏があります。2週間前、ベスト釣友のイソグレさ んと画策。前回、日本いや世界有数の名礁・鵜渡根へ初挑戦した際に感じたこと 「我々は鵜渡根へ通い始めたばかり、我々のような日曜釣り師では名礁中の名礁 、鵜渡根カツオ根や二ツ根へはなかなか上げてもらえない。さすれば混雑するシ ーズンは避けるべきだ。いっそのこと子供の夏休み最後の日曜日であり月末、真 夏のイメージが強い8月31日に行くべきではないか。我々は子供がいないし、 家族のことなどお構いなしに釣りへまっしぐらの人種だ。チャ〜ンス・タイムで はないか」と。
 幸いにも冷夏。実は鵜渡根にシーズンがないこと、私は密かに知 っておりました。加えてメインターゲットである尾長メジナ(九州では尾長クロ でした)はこの時期が旬、脂がたっぷりとのってこの上なく美味しい季節です。

  そこで、遡ること2週間前、私たちは鵜渡根へ渡船してくれる下田フィッシン グの船長に電話を入れました。この時点で予約は0。「船長、何人から船、出し ます?」「う〜ん、5人集まれば出すさあ」「了解、集めます」。携帯を切った 瞬間、私はPCのキーボードを叩きました。「ええ〜業務連絡。ゼロです。ゼロ ゼロゼロです」。「トラトラトラ」いや「ゼロゼロゼロ」(訳=緊急連絡、極秘 任務遂行せよ)。イソグレさんへ状況を報告。急いで人集めに入りました。
 結局、我々は3人しか揃わず。しかし前日「3人ね。船が出るといえば人は集 まるだろう」との船長の言葉を聞き、鵜渡根・夏の陣はスタートすることになっ た次第です。
 我々が最初の予約。海況さえ良ければ、ほぼ間違いなく最初の渡礁先、名礁・ カツオ根は我々3人で独占です。「むふふっ、あそこにはバケモノが潜んでいる 。タックルは入念に選択せねば・・・ブツブツ」――。こんな独り言をつぶやく 日々が2週間ほど続きました。
 その後は毎日、いや毎時間ごとに天気予報、波浪予測のチェック。前日は毎秒 ごとにチェックしていました。ところが、前日、南西の風が強さを増す予報とな ります。諦めておりましたら前日の土曜日午後7時、下田フィッシングから「出 航します」との連絡をもらいました。諦め半分の静岡の釣友へ早速電話。「ゴッ 、Goです!」。イソグレさんの目が光るのを受話器ごしに感じます。

いざ!出航!

 8月31日の日曜日午前4時出航、客は我々3人を含めて10人。渡船・喜久 丸に乗り込みます。この時期、我々以外に7人も物好きがいるとは驚きでした。 それほどに魅力溢れる名礁・鵜渡根なのです。
 今のところ海況は凪、風もそれほどではありません。1時間20分ほどで鵜渡 根へ到着しました。予測通り、船は鵜渡根一番の名礁カツオ根手前で止まります 。我々はドキドキしながら後ろからカツオ根と船長を交互に眺めています。少し ウネリが残っています。現状は満潮、カツオ根に渡礁するには微妙。船のタコツ ボから荷物を出します。船長はまだ考えています。ウネリの具合、風向きを見る こと約15分。船はカツオ根に近付きました。ちょっと微妙な海況ゆえ「鵜渡根 経験が豊富な人が乗るなあ」と諦めていました。

 船外マイクが響きました。「川の沢さんたち、荷物を前に出して!」。「はっ 、はいっ!」と、私は美しい返事をして心の中で「やった〜っ!」と叫びました 。鵜渡根釣行計画・夏の陣は、これで完結しました。カツオ根に乗ることが目的 でしたから、すでに達成です。ご清聴ありがとうございました。ウッソ〜(笑) 。でも、ここから先はあまり面白くありませんよお〜っと。(=続く)


鵜渡根カツオ瀬

 我々3人は鵜渡根・カツオ根へ渡礁した時点で目的達成。充実感に浸っていま した。渡礁の際、ベテランのお客さんに荷物を手渡していただき、「頑張って」 と声を掛けていただきました。渡礁後、釣友3人で握手。「おお〜っ、ここがカ ツオ根かあ。ここで釣れなければシャレにならんなあ」と満面の笑顔で磯をひと 通り見学。まるでおのぼりさんの観光客です。3人でジャンケン。私は2番目。 沖向きの船付けから海をみて左手沖向きを選択しました。本当は右手のウノクソ 方向のテラスを釣りたかったのですが、ジャンケンで1番のSさん、G杯チヌ大 会東海予選で3位になったこともある釣りキチですから抜け目ありません。さす がです。

 仕掛けは、竿ががま磯グレスペ遠征3号、リールはシマノテクニウム5000 番ダブルハンドルにミチイト・ダイワアストロンストロング6号を巻いています 。ハリスはグランドマックス7号からスタート、針はがまかつ遠投グレ10号で す。ウキは釣研大西展生デザイン・本流尾長の5Bイエロー。コマセはオキアミ のみ15キロを準備しました。
 さっそくコマセを足元左手のサラシへ入れます。すぐに「バシャバシャ」と魚 が浮いてきました。30cmクラスに混じり50cmクラスの青い魚がコマセを 拾っています。偏光グラスでよ〜く見ると「おお〜っ、尾長じゃん」。いきなり ハリスは矢引きに切ってウキは固定でそっといれますが、まったくツケエサを食 いません。30分ぐらいあの手この手で足元を狙いますが、エサだけがとられま す。「・・・?」
 そのうち、ジャンケンで負けて石鯛場をやっていたイソグレさんが30cmほ どの尾長を掛けます。魚は食うのです。水温を計ったところ23・7度。しかし 最初の1時間は3人でその尾長だけ。針が大きいからかエサトリも釣れません。  「う〜ん、ここで迷ったらダメだあ」と自分に言い聞かせました。私は足元を 諦め、伊豆諸島釣りの基本「コマセは足元、仕掛けは15メートルほど遠投」し てウキを流し始めました。潮はゆっくりと、カツオ根らしくなくヨロヨロと沖へ 向かっています。仕掛けも、ハリスを5号に落とし、針はプロマダイ8号オキア ミカラーに変更、食い渋りと判断したのです。
 数度同じ釣り方をしてカツオ根らしくない潮に乗せて流していると、沖30〜 40メートル先で黄色いウキがスッと消えました。次の瞬間「ギュルギュルギュ ル〜ッ」とミチイトがすっ飛んでいきました。とっさにオープンベールを押さえ て当たりを取ると、重量感タップリ。「乗った!」。釣り座を換えて私の左横で 同じ潮を釣っていたイソグレさんが「食った?」と叫びながら見守ります。

大物か〜?鵜渡根のオナガとの出会い!

 スタート時点が満潮、小さなウネリが残っていたので高い場所に釣り座を構え ていました。タモは、獲り込むことを前提に低い場所に置いておきました。高場 で数度溜めてキッチリ掛っていることを確認後、低い場所に滑り降りてヤリトリ します。ヘビータックルですからいっさいミチイトは出しません。腰の強い遠征 3号が綺麗に曲がっています。もちろん片手でのヤリトリなどできないパワーで す。タダモノではありません。下に下に突っ込むため「おそらく尾長!」と感じ とりながら必死にヤリトリします。ただ、意外にも気持ちには余裕がありました 。巻いて溜めて巻いて溜めてを繰り返すこと、2、3分ほどでしょうか。最後の 浮かせに掛ります。すると、ヤツは左手前の根に突っ込みました。横の高場で見 守るイソグレさんが魚を確認。「デケェ〜よ。良型の尾長だよ。あっ、ヤバイ! 」。根にハリスが擦れる感触が竿から伝わります。そんなことはお構いなし「獲 れなきゃそれまでタイ」と私。「また掛ければヨカ。ここは鵜渡根・カツオ根タ イ」と考えていました。だから不思議と冷静でした。魚が突っ込むちょっと前に 魚の突っ込む方向に竿を寝かせていました。いつもの私では考えられない冷静さ です。
 何とか浮きました。「よしっ」とタモを持ち、腱鞘炎の悪化でタモ入れの苦手 な私が一発で掬ったのは尾長43・5cm。私は「・・・?」。思ったほどのサ イズではなかったのです。鵜渡根という名の潮の力で魚のパワーを見誤っていた のでしょうか。それとも鵜渡根の夏の尾長はパワフル? ちょっとがっくりです (笑)。イソグレさんは「Sさん、まずは1枚出たよ、まずまずの型」。少し離 れたところで竿を出していたSさんに声を掛けます。お二人とも祝福してくれま す。ここは鵜渡根・カツオ根。このときまでは3人とも余裕です。「まずは1尾 だな。ここはカツオ根だもん」――。


鵜渡根の夏の尾長はパワフル

 その後、カツオ根本来の激流が走ります。いくら流しても何も起こりません。 足元で良型のタカベを釣ったり、沖には頭の悪いトビウオ、掛けたトビウオを追 っかける2メートル以上のサメ、息継ぎをするため時折海面へ顔を出すウミガメ ・・・。早上がりの知らせがあるまで本流を攻め、二の腕はパンパンです。12 時30分に撤収。それまでトビウオを4尾、タカベ1尾追釣しただけ。

 一方、イソグレさんは私が唯一の尾長を血抜きして絞めている間、8号ハリス を飛ばされました。足元です。イソグレさんの竿は遠征4号、その前に掛けた4 5cmほどのイズスミは軽々と抜き上げていました。ミチイトはPE5号、マグ ロでも獲れそうです。ハリスは80cmぐらいのヒラマサなら余裕で獲れそうな グランドマックスの8号、これが数秒で引きちぎられたそうです。イソグレさん はバケモノと遭遇してしまいました。危険です。あれ以来、あの人の目が妙な輝 きを放ち始めています。
 また、Sさんはトーナメンターらしく、じっくりとカツオ根の感触を確かめる ように釣りを続けていました。35cmまでの尾長は3尾ほど掛けています。3 キロほどのイズスミも。さすがです。大会だったら優勝です。しかし、ここは鵜 渡根・カツオ根。Sさんは不満足気、「また来ましょう」とリベンジに燃えてい ます。

鵜渡根・カツオ根を攻略するまでは

 船長に後で聞いたら水温が23度台から21度台に半日で2度も下がり、魚の 食いが止まったようです。午前7時過ぎ、潮替わりのほんの15分だけ食いがタ チました。隣のイソグレさんが8号ハリスをちぎられたのも同じ時刻です。  結局、名礁カツオ根に乗れたのに、ちょっと情けない釣果。しかし、3人とも 興奮を一杯、持ち帰りました。船中の10人、中ノ島、二ツ根は惨敗、タタミ根 →フズシも厳しく、ウノクソのベテランが竿頭で尾長44cm1尾他、シマアジ 600グラム、イサキ数尾という程度。10人で40cmオーバーの尾長はその 人と私の2人だけという厳しい結果でした。

 すでに、10月、鵜渡根のバケモノ退治計画が3人の予定に組み込まれている のはお伝えするまでもありません。ここは鵜渡根・カツオ根、攻略するまで我々 の戦いは続きます。(終わり)



これ鵜渡根のトビウオ君。



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