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2004
REPORT

特別寄稿


静岡在住のisogureさんによる特別寄稿 釣行記 2004年2月8日
憧れの男女群島


 net釣友で静岡在住のisogureさんから、HOTな男女群島釣行記が寄せられました。 渋い状況が聞かれるなか厳しい男女の自然環境に耐え、釣果をものにしたisogureさん。是非ご覧下さい。

 現在は静岡在住であるが、博多出身の私にとって、九州の西方沖合いに浮かぶ「男女群島」は、生まれ故郷の目の前にありながらも、人生の中で最も遠い場所である。職業柄、長年海外各地を歩き回ってきたこの足、時にはたった一人で、見知らぬ町へと向かう辛い長旅も経験した。しかしこの島だけは、そんな程度の冒険心では決して許されぬ、厳しい自然条件と、予想を超える過酷な試練を与えてくれる。 男女群島へのチャレンジを始めて、およそ10年になるだろうか、この間、悪天候によるキャンセル、前夜の水難事故による当日朝ドタキャン、そしてシケによる早上がり。幾度となく行く手を阻まれ、今までに渡礁出来たのは5回、そのうち一回は石鯛狙いだったので、尾長グレを狙っての渡礁は、わずか4回しかないのである、しかも、予定時間一杯まで、満足な釣りが出来たのは、今回を入れて2回。それでもまだ懲りずに、毎年チャレンジを続けずにはいられない島、それが男女群島。一度訪れたら最後、釣り人を虜にしてしまう、不思議な魔力を持つ島なのである。

日程 2004年2月8日(日)〜10日(火)
利用船 あじか・ブラックカイザー
釣り座男 島 ノコギリ横のワンド奥、無名瀬8日PM21:00〜9日AM10:00
女 島 中山、無名磯9日 AM10:30〜10日AM10:00
夜釣りがまかつ遠征4号、PE5号ライン、ハリス8号、カットグレ9号アロンアルファー固め、電気ウキ8号負荷特大。
昼釣りがまかつスーパーインテッサGV1.5号5.0m、ゴーセンナイロン3号、ハリス2.5号、カットグレ7〜8号、グレックスウキ1号負荷。

さあ!いよいよ出船4度目の挑戦!

こちらはブラックサムソン


 2月8日(日)午後3時、あじか磯釣りセンターへと続く、小高い丘の上から平戸大橋の下を見ると、航路上にブラックサムソンが、2千数百馬力エンジンのけたたましい音を立て、男女群島を目指しているではないか。我々の出航時間は夕方5時のはず。なのになぜサムソンは・・・事務所に到着して事情を聞くと、日帰りの釣り客数十名を乗せて、早めに出航したとの事。 この他、我々1泊2日組、そして2泊3日組をあわせると、総勢130名の釣り客でごった返す日であった。
 ブラックカイザーに揺られて3時間半、途中、ウネリが大きくなる海域があるらしく、30分ほどかなりの揺れがあった。同行する大先輩が、このウネリ海域を過ぎれば、男女だと話してくれる。するとまさにその通り、しばらくするとウネリが弱まり、船のエンジンが回転数を落とした。
 男女群島に着いたのだ。船は男島方向から入ってくるのである。まず最初に、先輩の組が名前を呼ばれる、渡礁作業を手伝い、次に我々二人の名前が呼ばれ、先輩たちが降りた、ワンドの対面側に渡礁する、ポーターさんに聞くと、ノコギリ奥とのこと、しかし後で調べたが、あじかの解説書にも記載がないほどの、無名磯だったようである。

大物尾長を狙って大胆に…


 早速、夜釣りの支度を始め、瀬際を流すが、魚の気配が感じられないのである。尾長の夜釣りは、瀬際がセオリーなのだが、仕方なくポイントを遠目にずらしながら、探りを入れてみる、するとおよそ50m前方に仕掛けが流れた頃、エサがなくなり始めた。やっと魚の気配を感じた。
 そして今度はいきなり30m以上潮上から、その近辺に仕掛けが流れるように、コントロールしながら流すと、特大電気ウキにわずかな反応が。遠征4号の剛穂先をを張りながら、聞いてみると、コツ。。コツ。魚だ!確信を持って手首を返すと、ガッチリ針掛かり!小気味良く上がってきたのは、45cmほどのクチブトメジナ。釣りを開始して2時間ほど過ぎた頃であった。
 クチブトメジナの居場所は分かったのだが、やはりここは男女、本命の尾長を狙いたいと思うのは当然。遠目のクチブトポイントを狙う合間を縫って、瀬際も流してみるが、一向に魚の気配はない。 このワンド、結局明け方までに9枚のクチブトを取り込むが、尾長との遭遇はなかった。
 翌朝午前10時の瀬代わり時に分かったことであるが、 対面の先輩たちの一人はボウズ、もう一人は2〜3枚のクチブトを取っただけ。そして私の隣で竿を出した釣友も、たった一枚のクチブトしか取れずがっかりしていた。
 私の超デカ電気ウキは八号の丸玉オモリを背負わせ、 最近で言うフカセ釣りの傾向とは、逆行するコンセプトから、考えたものであった。これがクチブトの居場所を、確実に捉えた結果ではないかと、身勝手な分析をしながら、瀬代わりの船に乗り込んだ。
 

瀬代わりする船上から 男島東側を航行、前方に見えるのは、クロキ島近辺(写真 右)

体力限界でのぎりぎり勝負

今回一緒に上がった釣り仲間S君。
結局2枚しか釣れなかった。


 

 ブラックカイザーは南へ進み、女島の東側へ磯付けを始める。日曜日の出航時、天気予報は北西の強風、案の定、昨夜のノコギリは北西の風をよける絶好のポイントではあるが、磯裏から吹き込む冷たい風は、凍えるような寒さを運んできた。 翌日も北西の風は相変わらず強く、西磯に行ける状態ではないようだ。
 男島を過ぎ、中ノ島水道を見ると、昨年の2月に乗った、SOSのハナレ、そして男女群島の象徴「帆立岩」の雄姿が遥か遠くに見える。どうやらあの辺にも、大勢の釣り人が、既に乗っている様子。 船は更に南下し、女島の東側、中山あたりに瀬付けを開始する。
 我々が降りたのは、中山の高台を遥か遠くに見る、無名磯のようであった。足元には小さなワンドがあり、左右際には大きな沈み根が張り出している。 早速、昼釣り用の軽めの仕掛けに持ち換えて、仕掛けを投入すると、気持ちよくウキが入り、30cm程度のオナガが針掛かりした。ここはどうやら魚がいるようである。
 気分を良くし、続けて仕掛けを入れると、また数投目に、勢いよくウキが入り、今度はクチブトの40cmアップ。こんな調子で2〜3時間の短い間に、13枚の魚を取り込んだ。中には40cmのオナガも混じり、最大はクチブトの45cmであった。
 昨夜から一睡もしていないので、さすがに体力の限界を感じ、このあたりで休憩をする。腹ごしらえを済ませ少しばかり仮眠を取る。

女島東側の無名磯にて


あじか軍団の雄姿。ブラックフィンのポーターオレンジ服のY君は、30キロ程度の荷物なら、片手でヒョイと手渡す怪力(笑)
この方々は小型しか釣れてないようだった。夜釣りでもメチャクチャ細い(写真 右)


 しばらくして、午後の見回りに来たカイザーに乗り込み、クーラーの中に魚を仕舞い、様子を説明すると、再び竿を握り、午後〜夕方まで様子を見ながら釣りを開始する。しかしこの時、潮が下げに入り、急に魚の気配がなくなってしまったのである。 頭をかしげながらの釣り、ワンドの中をあちこちと探るが、魚の気配が全くないのである。
 しかし時間は一刻一刻と過ぎ、夜釣り用の磯へと瀬代わりするかどうかの、判断を迫られる時間がやってきた。夕方5時、カイザーが来て尋ねてくる。隣の釣友を顔を見合わせ、お互いの疲れ切った顔を確認し、瀬代わりを断り、このままこの磯で、夜釣りをすることに決定。船長に聞くと、ここでもオナガは当たってくるとのこと、一発だけでよいのだ!60cmアップ一発で!それだけを考え、再び気を取り直し、竿を握るのであった。
 がしかし、夜11時を回る頃まで、一回のアタリもなく、耐えられない寒さに負けて、寝袋に滑り込んだ。この夜は寒く、全身にホッカイロを貼り付けても、震えるほどの気温。明け方5時頃に、目を覚ますまでは、手足も冷たくなって、極度の疲労がなければ恐らく、一睡も出来ない夜であったに違いない。 全身筋肉痛で、氷のように冷たくなった手足を、引きずりながら、手袋をはめ、ライフジャケットを着る。ふらつく足取りで、断崖のわずかな岩に、スパイクブーツの片足をかけながら、伝うように釣り座へと降りる。途中、眠気と疲れで、意識が遠くなりそうな感じがした。 再び、竿を握り、仕掛けを投入。しかし、相変わらず魚の気配は全くない。時間だけがむなしく過ぎる。

男女ならではのドラマで幕!

 やがて、東の水平線に、太陽の明かりがうっすらとし始めた頃、釣友の竿に、43cm程度のオナガが当たってきた。魚が回ってきたな。。気をとりなして瀬際を丹念に攻めると、ウキにわずかな動きが。しかし再び戻る。おやッと思い、握る手に力を込めながら、様子を伺うと、またウキがしもり始める。
 魚だ!次の瞬間、軽く手首を返し、聞き合わせを入れると、いきなり怒涛の衝撃が。 目一杯締め上げたドラグから、PE5号がジリジリと唸りながら出て行く。遠征4号が満月のように曲がる。数分間の格闘の末、上がってきたのは75cm、5キロのメダイ。この魚、一発目の引きは、オナガ以上と言われるだけに、ものすごい力で剛竿を引きずりこんだ。やがて日が昇り、朝マヅメのドラマは終焉を迎えた。私の左腕は、長時間の釣りとメダイとの格闘で、筋力を失い、釣りを続ける力も残ってない。
 その後は釣友の様子を見ながら、男女群島を離れる準備を始めた。 今回もまた、デカ版尾長との対面は叶わなかったが、この夢が続く限り、来年もまた、この男女群島の磯に立つ、自分の姿を思い浮かべながら、ブラックカイザーに乗り込んだのであった。
 

男女名物と云えるメダイ。しかも大物だ。75cm、5キロ(写真 左)

釣果発表

釣果:クチブトメジナ30〜47cm、計20枚、尾長メジナ30〜40cm、2枚、メダイ75cm、5キロ1本…メジナの大物3枚は、 今回釣れなかったS君に献上しました。
そして、帰ってから仲間達に振る舞った活き作り!オナガとメダイのお造り。とグレの押し寿司。何れも絶品♪(写真 右)


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